B型肝炎とは?

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  • B型肝炎感染者数>>
  • B型肝炎の診断>>
  • 治療の必要なB型肝炎>>
  • B型肝炎の治療法/治療成績>>
  • B型肝炎の合併症>>
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  • B型肝炎の患者さんが知っていなければならないこと>>

  • B型肝炎の症状

    普通、症状はまったくありません。肝炎の活動性が高くてALTが200IU/L以上位の高値になると、軽い全身倦怠感や易疲労感を感じる人がときにある程度です。強い倦怠感や黄疸、尿の色の濃染(褐色)などが見られる場合には、慢性肝炎ではなく、肝硬変に進行していたり、「慢性肝炎の急性増悪」と呼ばれる急激に肝臓が悪化したりする時期である可能性があります。このような急性増悪はC型肝炎より頻度が高く起こり、しばしば生命に危険な激しい炎症を起こし、「重症化」「劇症化」と呼ばれます。
    通常の慢性肝炎は無症状が一般的で、病院を受診される理由は、「血液検査で異常と言われた」「人間ドックでB型肝炎ウイルスがいるといわれた」というものが多くなっています。

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    B型肝炎感染者数

    B型肝炎ウイルス(HBV)を持つ人はわが国では人口の約1%です。30年前には約3%といわれていましたが、母子感染の予防の確立、医原性の疑われる処置の排除などによって、HBs抗原陽性者は減少しつつあります。実際に肝病変が起こる慢性B型肝炎は約30〜50万人、B型肝硬変は約5〜10万人存在すると推定されています。

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    B型肝炎の診断

    一般的には、血液検査でB型肝炎ウイルスが存在し、AST・ALTなどの異常値がみられればB型慢性肝炎である可能性が高いです。このときに、血小板数が低い(12万以下)、ビリルビン値が高い、アルブミン値が低い、ヒアルロン酸が高いなどの検査所見が同時にあれば、進行した慢性肝炎あるいは肝硬変になっている可能性もあります。

    血液検査だけでは慢性肝炎の進行度を把握するのには限界があり、超音波検査で肝臓などの形態診断を行う一方、十分な治療を行う必要があると判断されると、入院して腹腔鏡肝生検などの精密検査を行います。肝生検は直接に肝臓に針を刺し、肝臓の組織を顕微鏡で検査する、最も直接的で確実な方法です。

    実際に肝病変の存在する「慢性肝炎」「肝硬変」であるかどうかの判断は、腹腔鏡・肝生検所見によって行います。トランスアミナーゼが正常値を示す慢性肝炎・肝硬変もよくあり、肝病変がありながら「健康保菌者(いわゆるHBVキャリア)」と誤診されるケースも多くあります。そのため、慢性肝炎の診断はALT値によるのものではなく、病理学的な肝生検による診断をしなければならないのです。

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    治療の必要なB型肝炎

    e抗原陽性・HBV-DNA高値(一般的には血清で106copy/ml以上)であれば、トランスアミナーゼ変動が起こり、肝病変の進行が起こるため治療が必要となります。また、e抗原陰性であっても、HBV-DNA高値・トランスアミナーゼ異常値であれば肝病変の進行が起こるため治療対象となります。ALT正常値の症例は、e抗原陽性・陰性にかかわらず、治療の必要はありません。

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    B型肝炎の治療法/治療成績

    主に次の4種類の方法があります。

    ラミブジン(Lamivudine:ゼフィックスTM)

    ヌクレオチドアナログであるラミブジンは内服の抗ウイルス剤で、副作用も少ないため各国で広く使用されています。ALTが正常値の2倍以上の高値で経過する場合には、本剤を使用する適応がありますが、肝臓専門医による投与が理想的です。e抗原陰性例やe抗原陽性でもHBV-DNAが108copy/ml以下であれば効果も良好ですが、e抗原でHBV-DNAが108copy/ml以上の場合には治療効果に限界があり、6ヶ月目前後より耐性株の出現が高頻度で注意が必要となります。耐性株が出現することによる肝炎急性増悪(breakthrough)が起こった場合は、インターフェロンの他、同様な抗ウイルス薬であるアデフォビルAdefovir(ヘプセラTM)が有効です。
    いずれの場合においても1年以上の長期投与が原則となります。

    ラミブジン1日100mg内服を1年間行った場合のe抗原e抗体系のセロコンバージョン率は、治療前のALT値に比例します。ALT値が正常の5倍以上であれば65%、2〜5倍であれば25%、2倍以下では5%以下です。ラミブジンにインターフェロンを併用するとセロコンバージョン率が高くなり、また、長期投与を行うとセロコンバージョン率が高くなると報告されています。

    インターフェロン

    抗ウイルス剤として以前より使用されており、ラミブジンと同様の治療目標で、同様の治療適応の薬剤です。インターフェロンは注射剤で、発熱・全身倦怠感・うつ病などの副作用もありますが、ラミブジンにみられるような耐性株の出現はありません。両薬剤は、投与期間・薬剤費用・通院の手間・副作用出現などについて、患者への十分な説明・協議が必要となります。
    インターフェロン治療は、通常週2〜3回で6ヶ月またはそれ以上の間歇長期投与で行われますが、多くの場合、治療開始初期のみ4週間程度の連日投与が行われます。

    ALTが正常の2倍以上のe抗原陽性慢性肝炎に対して、週2回のインターフェロン治療を6〜12ヶ月間行うと、e抗原陰性化率は30〜40%で、無治療の10〜15%より高率となります。インターフェロン投与方法による治療効果の違いは大きく、4週間連日投与のみを行ったわれわれの治療症例ではe抗原陰性化率は19.5%となりました。また、インターフェロン治療例を長期に観察した51例のわれわれの集計では、7年後のe抗原陰性化率は49.0%でした。

    ステロイド離脱療法
    e抗原陽性のB型慢性活動性肝炎に対して、宿主の免疫能の高まったALT上昇時期にステロイド剤を3〜4週間投与する治療法です。投与終了後に特徴的なALTの反跳現象(rebound現象)がみられ、この時期の経過観察後にe抗原陰性化・ALT正常化を期待する治療です。ALT反跳時期に肝炎重症化を引き起こす危険性が指摘されているので、肝臓専門医以外での治療はできません。肝硬変に近い進行慢性肝炎症例やAFP高値の慢性肝炎症例においては行えません。

    e抗原陰性化率は1年後約50%、3年後は約70%です。

    その他の治療薬
    漢方製剤である小柴胡湯、グリチルリチン(グリチロンTM)、グリチルリチン注射剤(強力ネオミノファーゲンCTM)、ウルソデオキシコール酸(ウルソTM)などは免疫調節剤・肝庇護剤として主としてトランスアミナーゼを低下させる目的で使用されますが、ウイルス学的な効果は小さいです。プロパゲルマニウム(セロシオンTM)は免疫調節作用があり、トランスアミナーゼの反跳現象を経てウイルス学的な改善をもたらしますが、一時的な肝炎重症化の危険性も指摘されています。

    グリチルリチン注射製剤(強力ネオミノファーゲンCTM)を1日40mlで週5回以上静脈注射すると16%の症例でALTの正常値が得られました。1日100mlとすると32%の症例でALT正常値が維持できています。ウルソデオキシコール酸内服は、これらグリチルリチン製剤と相加的ないし相乗的作用を示して、ALT低下をもたらします。


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    B型肝炎の合併症

    慢性肝炎が進行すると肝硬変をおこします。慢性肝炎・肝硬変の最大の合併症かつ予後を規定するものは、肝癌の出現です。肝細胞癌以外の合併症・症状は、食道静脈瘤、腹水・浮腫、肝性脳症、血球減少・出血傾向などがありますが、これらの発症はいずれも肝細胞癌出現に非常に大きく依存し、肝癌ができない場合には、これらの症状の出現率は低くなります。
    慢性肝炎を長期に経過観察すると約4%の症例で黄疸を伴う「肝炎重症化」、約0.5%の症例肝性脳症を伴う「劇症化」が起こっています。

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    B型肝炎の予後

    (1)肝硬変進行率
    インターフェロン・ステロイドを使用していない「無治療の」B型慢性肝炎610例からの肝硬変進行率は、5年後8.0%、10年後21.2%、15年後37.0%となっています。慢性肝炎病期別にみた肝硬変進行率をみると、5年進行率はそれぞれ0%、6.2%、17.0%、10年進行率はそれぞれ8.2%、16.4%、35.0%、15年進行率はそれぞれ35.0%、27.9%、53.7%です。

    (2)肝細胞癌発癌率
     無治療B型慢性肝炎610例からの肝癌発癌率は、5年後2.1%、10年後4.9%、15年後18.8%となっています。慢性肝炎病期別にみた肝細胞癌発癌率をみると、5年発癌率はそれぞれ0%、0.8%、6.2%、10年発癌率はそれぞれ2.7%、4.4%、7.7%、15年発癌率はそれぞれ11.5%、7.1%、34.3%となっています。

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    B型肝炎の患者さんが知ってなければならないこと

    1.  無症状であっても将来悪化する可能性があること トランスアミナーゼが正常値でHBe抗原陰性であっても、ウイルスの増殖・活性化により通常見られる慢性肝炎の状態になることあり、この場合には徐々に肝硬変に向かって進行しうることがあります。また、通常のトランスアミナーゼ変動を伴う慢性肝炎であっても、黄疸を伴う重症化や昏睡を伴い生命を脅かす劇症肝炎に移行する可能性があります。さらに、トランスアミナーゼが正常値であっても、まれに肝細胞癌が発癌する可能性があることも知っておかなければなりません。
    2.  B型肝炎の家族歴 若年で進行した肝病変を有する患者では特に、濃厚な肝疾患家族歴を持っていることがあります。女性で肝硬変・肝細胞癌の症例は、その子供の採血検査が必要となります。
    3.  専門医による早期診断を早めに行ったほうが良いこと トランスアミナーゼの変動を伴う症例では、早期に専門医による肝病変の把握・治療方針の決定を行ったほうが良い。実際に当院で腹腔鏡肝生検により肝硬変と診断された症例の半数以上は、前医で慢性肝炎と軽く診断されています。慢性肝炎高度に進行した例では、超音波画像で肝実質が粗造となり、小型肝癌を発見するのに困難となる事実も、専門医での経過観察が望ましい一つの理由であります。
    4.  B型肝炎の治療は専門医が行うべきであること 安定期の経過観察は一般医での診療が可能ですが、トランスアミナーゼの中等度以上の変動期や治療に当たっては専門医にゆだねるほうが良い。特に、ラミブジン・インターフェロン・ステロイドなどの治療では、トランスアミナーゼの急上昇・反跳などがおこりやすく、ときに重症化の危険を伴うため、専門医が行うべきです。

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