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呼吸器センター外科

扱う疾患
原発性肺癌
通常は無症状で経過し、検診、特に早期のものは胸部CTで発見されます。症状としては、血痰、喀痰の増加、肺炎などがありますが、症状が発現した時には既に進行していることが多いです。
レントゲン写真や、胸部CTで肺癌の疑いを持たせる異常陰影を指摘された場合には、通常は呼吸器センター内科を受診します。当院でも、診断や手術適応の決定に関しては当初は呼吸器センター内科が中心となって行われます。当科が担当する診断方法は、胸腔鏡検査です。肺癌が非常に疑われる場合でも、病理診断を得ることが困難な場合もあります。全身麻酔下に胸腔鏡検査を行い、迅速病理検査で診断を確定し、引き続き必要な手術に移行します。
当科が担当するのは手術適応のある肺癌症例の外科治療です。最近注目されている超早期の肺癌、多発肺癌、高齢者や呼吸機能が十分でない一部の患者さんの肺癌の場合には胸腔鏡下に肺の部分切除術を行って肺癌の切除をおこないます。胸腔鏡下手術では0.7cmのう皮切、1.0cmの皮切、2〜4cmの皮切の3ヶ所の切開で手術を行います。U期までの肺癌や、一部の高齢者、呼吸機能不良な患者さんでは、胸腔鏡下に肺葉切除術と必要なリンパ節郭清をおこないます。十分な呼吸機能や体力があって、胸壁の合併切除、気管支や血管の形成などが必要な患者さんでは、約18cmの皮切で肺葉切除術とリンパ節郭清をおこないます。
縦隔腫瘍、重症筋無力症
縦隔腫瘍では通常は無症状で経過し、検診、特に早期のものは胸部CTで発見されます。症状は見られないことが多いです。時には胸痛や発熱などの炎症症状が見られることもあります。重症筋無力症では、物が二重に見えたりまぶたが下がる(眼筋型)ことで発症することが多いです。次第に全身の筋力の低下や持続的な運動での疲れやすさがみられます(全身型)。
縦隔腫瘍ではレントゲン写真や、胸部CTで異常陰影が見られても、針による生検以外では術前に診断がつくことはほとんどありません。重症筋無力症では通常は神経(内)科を受診し、診断を受けます。
縦隔腫瘍は通常は術前に診断が確定していないことが多いです。中等度悪性の胸腺腫が頻度として多く、また良性でも周囲の臓器を圧迫したり、腫瘍の内部に出血して胸痛や発熱を生ずることもあるため、原則として発見されたら手術を行います。I期の胸腺腫や良性の縦隔腫瘍の場合には、ほとんど胸腔鏡下手術で摘出します。悪性所見があり、周囲の血管も合併切除する必要があるときには、胸骨を正中で切開して摘出術を行います。重症筋無力症では、薬で難治性の眼筋型の患者さんや、全身型の場合には、胸腺を摘出すると軽快することが多いです。ですが、これも内視鏡下手術で行われます。しかし発病からの期間が長い程有効率は下がってしまいます。
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炎症性、または感染性疾患に対する手術
炎症性、または感染性の肺疾患で手術の対象となるのは、結核が腫瘤状になった結核腫で、画像上肺癌と区別がつかないもの、病変が限局していて内科的治療で十分に軽快しない結核、非結核性抗酸菌症や、真菌症があります。結核腫の場合には無症状で偶然発見される場合もありますが、それ以外の疾患では、肺炎の症状が出たり、痰や、場合によっては血痰が出ることがあります。結核を治療されてある程度の年月が経って慢性膿胸として経過していても、ある時感染したり肺と膿胸がつながってしまい症状を出してくることがあります。
通常は呼吸器センター内科で診断が行われます。レントゲン写真や、胸部CTで異常陰影が見られ、痰から結核、非結核性抗酸菌ありますいは真菌(かび)が検出されて診断が確定しますが、血中にかびの抗体ができて診断されることもあります。気管支鏡検査でこれらの病原体が同定できることもあります。
呼吸器センター外科で担当するのは、呼吸器センター内科で難治性と判断されたり、肺癌と区別のつかない結核腫や真菌症の場合です。良性の疾患なのでできるだけ胸腔鏡下手術で病変を有する肺の部分切除術や肺葉切除術を行いますが、高度の癒着などで標準的な開胸手術が必要となることも多いです。膿胸の手術では、急性の膿胸の一部で胸腔鏡下手術で対処できるものもありますが、慢性の膿胸では標準的な開胸で手術を行うことも多いです。全身状態が不良な患者の場合には、2期的に分けて手術を行わなければならないこともあります。
転移性肺腫瘍
肺は悪性腫瘍が転移してくる好発部位です。大腸癌、肝癌や腎癌などの原発部位の悪性腫瘍が十分コントロールされている場合には、肺の転移巣を切除すると予後の延長が得られることが報告されています。通常は原発の腫瘍の経過観察中に撮影された胸部X線写真や胸部CTで偶然発見されることが多いです。症状は見られないことが多いです。
転移性肺腫瘍では胸部X線写真や、胸部CTで異常陰影としてとらえられても、CTガイド下の針生検以外では術前に診断がつくことはほとんどありません。腫瘍が小さいと術前には診断がつかないことも多いです。
通常は胸腔鏡下手術で切除を行います。部分切除で切除できるものは部分切除で、区域切除が腫瘍の切除に必要となる場合には、区域切除を行います。必要があれば胸腔鏡下に肺葉切除を行う場合もあります。転移している腫瘍の個数が画像上10ケ所以上と多い場合で、特に大小さまざまな大きさの腫瘍が認められる場合には、完全には切除できないと考えています。胸部CTでも直径3mm以下の腫瘍は発見できないこともあり、また直径1mm以下の腫瘍は手で触れても発見できないこともあるからです。
嚢胞性肺疾患
自然気胸、巨大肺嚢胞、進行した肺気腫が対象疾患として挙げられます。自然気胸は突然発症する呼吸困難や胸痛がみられるため、比較的容易に診断されます。この中で肺気腫や肺線維症に併発して生ずる自然気胸は、それまでの肺疾患による呼吸困難の増悪と十分区別されない場合もあるので注意が必要です。肺気腫では呼吸困難が徐々に進行するため、十分に自覚されない場合もあります。肺気腫の一部の症例では、手術により症状や呼吸機能検査成績が改善するものもあり、手術の適応となります。
自然気胸は胸部X線写真で通常は容易に診断がつきます。巨大肺嚢胞も胸部X線で診断されますが、いずれも胸部CTを撮影し、周囲の肺の状態や、病変部位の状態を把握できた方がよりよいです。肺気腫は胸部CTの他、精密な呼吸機能検査や、肺の血流や換気の局在を十分に検査します。
保存的な(内科的な)治療が優先されます。保存的な治療で軽快しない場合や再発する自然気胸、増大傾向のある巨大肺嚢胞、一部の肺気腫が当科では治療の対象となります。当科ではいずれの場合も原則的に胸腔鏡下手術で治療を行っています。
多汗症(手掌、腋窩)
手掌や腋窩の異常な多汗が特長です。足底の多汗がみられることもあります。治療の対象となるのは患者が著しい不都合を感じ、治療を希望する場合です。
病歴を良く聴取したり、多汗の程度を診察すると容易に診断されます。
まず内服薬を使用してみます。既に治療を受けている場合で、有効な効果が得られない場合には、左右胸部交感神経切除術を行います。胸腔鏡下手術で切除を行い、当院では2泊3日で手術を行っています。
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診療スタッフ紹介

常勤医
河野匡部長
藤森賢医長
一瀬淳二、多賀谷理恵


部長・医長紹介
部長: 河野 匡 S57卒

河野 匡


呼吸器外科学全般、特に低侵襲手術 肺癌、自然気胸、肺気腫、転移性肺腫瘍、多汗症、縦隔腫瘍
 

日本胸部外科学会認定医・評議員
日本呼吸器外科学会専門医・指導医・評議員
日本内視鏡外科学会評議員
日本気胸・嚢胞性肺疾患学会評議員
米国胸部外科学会、アジア内視鏡外科学会

医長: 藤森 賢 H9卒

河野 匡


呼吸器外科学全般、特に低侵襲手術(胸腔鏡下手術)

日本外科学会専門医
日本呼吸器外科学会更新専門医・評議員
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本がん治療認定医機構暫定教育医・認定医
肺がんCT検診認定医師
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外来診療案内
 外来診療は以下のスケジュ−ルで行っています。
  月曜 火曜 水曜 木曜 金曜
午前 - -

河野
一瀬

- 藤森
午後 - - - - -
 ご来院の際は、前もって紹介医師の休診の有無を電話で外来に確認の上ご来院下さい。

診療実績

 2009年呼吸器センター外科の手術症例数は過去最高の増加となり、総手術症例数は387例(2008年は356例、2007年は353例、2006年は324例)でした。うち376例(全手術の97.2%)を3箇所(3ports)の傷による胸腔鏡下手術で行いました。疾患別では、原発性肺癌167例(うち多発肺癌23例)、転移性肺癌50例、縦隔腫瘍56例、重症筋無力症に伴う拡大胸腺全摘術10例、良性腫瘍・炎症性肺疾患59例、気胸・嚢胞性肺疾患34例等でした。原発性肺癌に対して胸腔鏡下肺葉切除+縦隔リンパ節郭清術を行った症例は116例(原発性肺癌の70%)、胸腔鏡下肺区域切除術を行った症例は23例(原発性肺癌の14%)でした。また、両側一期的胸腔鏡下手術を43例(全症例の11%)に行いました。在院死亡は認められませんでした。


メッセージ
 虎の門病院呼吸器センター外科では低侵襲手術を積極的に取り入れております。第一の目的は入院期間を短縮させることです。たとえば胸腔鏡下手術で肺癌、転移性肺腫瘍、自然気胸の手術を行った場合には、術後5日前後で退院していただいています。標準的な開胸により肺癌の手術を行った場合でも術後10日前後で退院していただけます。縦隔腫瘍の手術では、場合によっては術後にドレーンと呼ばれる管を使用しないので、術後3日程度で退院できます。第二の目的は、高齢者や他の合併疾患を持っていて、通常の手術では危険な場合でも手術による治療が可能となるようにすることです。
 通常の手術も、しかしおろそかにしてはいません。従来から行われているような標準的な手術、気管・気管支、血管の合併切除や胸壁、横隔膜、心膜を合併切除するような手術でも、適応があれば手術を行っております。
 セカンドオピニオンについてはこちらを参照ください
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