消化器外科(上部消化管)

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食道疾患の治療

食道癌の治療は、手術治療(内視鏡治療、外科手術)、抗がん剤治療、放射線治療、免疫療法(現時点では治験にとどまる)など、多岐にわたり、それぞれの良さを生かして治療していく“集学的治療”が非常に重要となってきます。当院で食道癌治療を受けられる方の多くは当科で担当させていただいておりますが、消化器内科(主にESDを担当)、臨床腫瘍科(主に化学療法と治験を担当)、放射線科(放射線療法を担当)と相談し、最適の治療を選択しています。

当科での食道癌手術症例

当科での食道癌手術症例

2017年に食道癌にかかられて初めて当科を受診された患者さんは108人でした。上述のとおり、食道がんの治療には”集学的治療(手術、抗がん剤、放射線などの治療を集めた治療)“が重要です。食道癌と診断された方のうち、内視鏡治療で対応できると判断された方は消化器内科に紹介しています。当科を受診された患者さんにうち、手術により治癒を目指せると判断した88人の方に外科手術を行いました。このうち75人(85%)の方は、より手術ダメージが少ない胸腔鏡手術を受けられています。

食道癌が治るために、手術そのものの精度は重要ですが、術後の合併症、とくに喉の動きや肺炎などの合併症が起きないことが重要です。食道癌の治療の成績は向上していますので、手術を受けた後の長期的なQOLの改善が重要と考えています。食道癌術後の誤嚥性肺炎は時に命にかかわる場合もあるリスクとなります。そのリスクを極力減らすべく、当科では以前から術後QOLの改善のため独自に胃温存回結腸間置再建術を進めてきました。この術式を行うことで、“食道癌が手術で治った”、に加えて“肺炎にならずに長生きできる”を目指して、ご希望の方には今後も積極的に施行してゆく方針です。

胃疾患の治療

胃癌に罹られる方、胃癌で死亡される方は徐々に減ってきていますが、それでも日本人にとって胃癌は重要な病気となります。胃癌の治療は、手術療法を中心として、抗癌剤治療や最近では免疫治療(オプジーボ)など様々な治療を組み合わせて行っています。

早期癌と診断された場合には、内視鏡治療(ESD)か外科手術(多くの方が腹腔鏡手術)を受けられることになります。内視鏡治療で根治できるのか、外科手術が必要となるのかは、病気の大きさや組織型、病気の深さなどの要素で決まってきます。当院の消化器内科は、胃癌の内視鏡治療(ESD)の日本の先進施設ですので、内視鏡治療で治る方が多数います。

外科手術が必要となった場合には、患者さんの負担が減り、術後のQOLを保てるように、積極的に傷の小さな腹腔鏡手術を行い、またできるだけ胃全摘を回避するように努めています。現時点で腹腔鏡手術を受けられる方は、進行がんの方を含めて80%ほどです。また、胃全摘を極力回避して噴門側胃切除や胃亜全摘(胃上部を残した噴門機能温存手術)を積極的に行っておりますので、胃全摘を行う方は当院では10%ほどにまで減少しています。

胃粘膜下腫瘍のうち、胃GISTは悪性疾患であり、増大すると肝臓や肺などに転移することもあります。当科では2cm以上のものは積極的に腹腔鏡での胃部分切除(病気の部位のみを切除)を行い、根治を得ております。2cm以下の方でも、大きくなってきている方などは、手術をお勧めする場合もあります。また、胃の切除範囲を必要最小限とするべく、術中に内科医と協力して切除範囲を決めるというLECS(腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除)も積極的に行っており、これまでに50例ほどを施行しております。

当科での胃癌・胃粘膜下腫瘍手術症例

当科での胃癌・胃粘膜下腫瘍手術症例

2017年に胃癌・胃粘膜下腫瘍にかかられて初めて当科を受診された患者さんは168人でした。胃癌と診断された方のうち、内視鏡治療で対応できると判断された方は消化器内科に紹介しています。当科を受診された患者さんにうち、手術を要すると判断しました156人の方に外科手術を行いました。このうち121人(78%)の方は、傷の小さな腹腔鏡手術を受けられています。

食道癌・胃癌ともに、術前・術後補助、再発治療を中心とした入院・外来通院化学療法を受けられる方も多数いらっしゃいました。食道癌においては、手術ではない治療をご希望の患者さんには、主に根治的化学放射線療法を施行しました。再発してしまった場合に対しても患者さんとの相談の上で可能な限り集学的に積極的な治療を提供しています。また、食道癌、胃癌とも再発例も含め、外科、内科(消化器内科、臨床腫瘍科)、放射線科、病理学科合同の毎週の上部消化管治療カンファレンスで治療方針について検討を加え、関連各科の連携により幅広い治療を展開しています。

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