黒川 /上條 /甲斐

「プライマリ・ナーシング入門コース」の修了を目前にして思うこと

チームプレイで実現するプライマリ・ナーシング

上條

このコースを受講して一番良かったと感じているのは、「自分の力だけでは患者さんに必要な看護を十分に提供できないこともある」と気づけたこと。それまでは「とにかく完璧なケアを自分がしっかりやらなければ」と変な力が入ってしまっていました。しかし、プライマリ・ナーシングについて学んだことで、チームとして患者さんに関わることの意義を強く感じられるようになりました。プライマリ・ナースが責任を持って1人の患者さんを担当するからこそ、意識的に皆で支え合うことが大切なのですね。

黒川

確かに、自分の思いばかりが先行してしまうと、患者さんの全体像が見えづらくなりがち。アシストに入ってくれた後輩看護師が楽しく患者さんと会話する中で、意外に重要な情報をつかんでくれることもありますが、チームとしてしっかり情報共有できていれば、そうした情報も漏らさずにキャッチできますね。

上條

甲斐

もちろん、先輩看護師に相談したり、自分では気づかないような視点からアドバイスをもらったりして、情報が増えていくことも少なくありません。オープンマインドで多くのメンバーの意見を聞くことで、その患者さんが本当に望んでいる看護の提供につながりますね。たとえ自分がいないときでも、アソシエイト・ナースを中心に情報共有できていれば、最適なケアを継続できると思います。

黒川

こうして振り返ってみると、コース受講中は「すべてが気づき」という感覚でした。これまでも患者さんのために一生懸命に考えて働いているつもりでしたが、十分とは言えなかったと思います。特に私は、「こんなことを聞いたら悪いかしら」と思ってしまい、患者さんに「もう一歩踏み込む」ことを躊躇する傾向がありました。しかし、そうした表面的な関わりでは、その人の本質をつかむことはできません。きちんと患者さんに向き合い、その人生に関わるつもりで接することが大切だと学びました。

甲斐

「どうしてそれを知りたいのか」という意図が伝われば、かなり踏み込んだ話題でも心を開いてお話しして下さる患者さんが多いですよね。そして、そうした情報収集を行うときもチームでのアプローチが有効になってきます。

浮き彫りになった自身の課題に挑戦しよう

上條

グループワークとして実践的な課題に取り組む中で、プライマリ・ナースが患者さんと深く関わり、率先して動けば、もたらされる結果が大きく変わることを実感しました。「看護師だからこそ発揮できる力」というものをあらためて感じられたことは大きかったです。

甲斐

虎の門病院の看護師は「病気を看ている」のではなく、「患者さん自身を看ている」のだと思っています。カンファレンスの場でも、病気に対してのアプローチに限定されず、「どのような生活を送りたいのか」といった患者さんの気持ちに焦点を合わせたテーマが多いですよね。チームの皆が「患者さんの希望をかなえるにはどうしたらいいか」という視点で話しているのが特徴だと思います。

甲斐

黒川

そうした視点も「プライマリ・ナーシング入門コース」で学んだことの一つかもしれません。実際、受講する前と後では、私自身も大きく考え方が変わりました。新人のうちには気づきにくい、患者さんのニーズや希望といった点に注目できるようになることも、このコースで学ぶことの意義だといえそうですね。

上條

本当ですね!例えば、患者さんから「眠れない」という訴えがあったとき、「お薬を用意しますね」と答えるのがベストとは限りません。この患者さんはどうして眠りたいのか、眠れないことでどのような問題が起こっているのかを個別的にとらえることが大切です。今にして思えば、先輩方はそうした視点を備えていたからこそ、レベルの高い看護を実践できていたのですね。

3人が並んでいる様子

黒川

「患者さんを24時間支える包括的な視点」「多職種の人たちと同じ思いで動く意識」など自身の課題が次々と見つかり、それをクリアしていくことにより内面的に成長できたように思います。自分が成長したいと思ったとき、それがかなえられる職場というのは幸せですね。一人では成し遂げられなかったことですから、支えてくださった先輩方や同僚たちに感謝の気持ちでいっぱいです。

甲斐

年齢を重ねるにつれて、自分を見つめ直したり、他者から評価されたりする機会は減っていくものだと思います。貴重な学びの機会を逃さず、自身の課題を浮き彫りにすることで、また一歩成長することができますね。今回、このコースで学んだことは、私にとって大きな自信になりました。

上條

若手から頼られるようになった入職5~6年目くらいの参加者が多い印象でしたが、受講を始めるタイミングは各自の決断に委ねられています。誰かに言われて始めるのではなく、自分が学びたいと思ったときがスタートですから、それぞれのペースで着実に成長できる恵まれた環境だと思います。ハードな部分もありますが、覚悟を持って臨めば、間違いなくワンランク上の看護ができるようになります。

黒川